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女帝ポッチャマの午後のひととき
ブログ名が出オチですが、ポケモン関連のブログです。2人の共同管理。
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遂に、このカテゴリーを動かす時が来たか・・・。




「大女帝図書館」

湖氷堂の書いたポケモン二次創作小説orプレイ日記を載せる予定だったカテゴリーです。
ただ、結局そのプレイ日記が途中で止まり(確かヨスガで力尽きた)、そのままお流れになっていた、と・・・。


なのですが。
しもべCが忙しくなり、イラストが止まってしまったので、この機会に短編をお蔵出しすることにしました。
ストックが残り2本しかないので、ここまで秘密兵器にしておいたのですが。

小説と言うより脚本形式です。
あと、少々分かりにくいです。多少、オリジナルの解釈を盛り込んでますし。
(ジムリーダーは挑戦者のレベルに合わせてポケモンを変える、など)

ただ、分かりにくいけどシナリオは上手く行ったかなー、と・・・。
しもべCには好評でした。


前置きが長くなりました。
それでは、どうぞ。

拍手


ヒョウタ「さーて、今日は残念だけどここまでかな。
今いる場所はハクタイの辺りかな……結構遠くまで来たし」
(頷くズガイドス)

ヒョウタ「……化石発掘もいいけど、今日はまだ鉱山の見回りがあるからね。
ここの一帯を掘ったら終わり、と……」



ヒョウタ「……もっと掘っていたいけど。
ジムリーダーの仕事に、鉱山の見回り。
そっちの仕事にもやりがいがあるから、ここまでだな」
ズガイドス「……」
ヒョウタ「ん?お前の食事の時間についてか」

ズガイドス「……ぐが!?(覚えてたの!?)」
ヒョウタ「鉱山の見回りの前にポケモンフードは用意しておくよ。体動かしたし」
ズガイドス「ぐがー!(よっしゃー!)」
ヒョウタ「よし!後は……!」



ヒョウタ「……あれ?」

ズガイドス「ぐが?」
ヒョウタ「この辺り一帯、妙に岩盤が固い……。
なぁ、思いっきり頭突きしてくれないか?」
ズガイドス「ぐがー(辺りを指す)」
ヒョウタ「あ、周りにはもう化石は無いと思う。
反対側の岩盤の化石の位置を考えると、多分……。
だから遠慮は要らないさ」

ズガイドス「……ぐが?」
ヒョウタ「全力で!ただし、真っ直ぐに。
これだと狭い通路だから助走を付ける場所が無いけど……ま、力を入れすぎても危険だからいっか」
ズガイドス「……ぐが」



ざっ、ざっ、ざっ。

ズガイドス「……」
ヒョウタ「おぉ!?クラウチングスタート!?
ポケモンと人間だと大分勝手が違うから意味があるかは分からないけど」
ズガイドス「……がー、ぐー、ぎー(3、2、1)」

ズガイドス「ごーーー!!!」



ドガァン!
パラパラ……。





ヒョウタ「……」

ズガイドス「……」

ヒョウタ「……」
ズガイドス「……」







ヒョウタ「……地底都市?」







ネタ小説「深奥アンダーグラウンド」





作業員「あ、ヒョウタさん!遅かったですね」
ヒョウタ「……(無言で坑内の様子を確認)」

作業員「……どうかしました?」
ヒョウタ「……あ、いや!何でもない」
作業員「坑道内で何か?」
ヒョウタ「あ、2番坑道の換気が不十分だったくらいか。
違和感程度だけど、どこか異常が無いか数日内に点検を行なう予定だからよろしく」
作業員「あ、はい……でもそれとは何か違いますよね?
冗談ですけど、恋わずらいじゃないですよねー」
ヒョウタ「そうだったらいいんだけどねぇ、本当に」



作業員「……大丈夫ですか?」
ヒョウタ「察してくれ」

作業員「……はぁ……」



ヒョウタ「……正直自分独り占めにするよりもこれは周りに相談するべきだよなぁ」
作業員「……えぇ!?まさか凄い化石を掘り当てた!?」
ヒョウタ「いや、どちらかと言うと掘り当てたのは不発弾だね」

作業員「……聞かない方が良さそうっスね」
ヒョウタ「言いたいんだけどね、ははは。
……無事に終わったら言うよ。はぁ……」





ヒョウタ「換気の作業の事も考えないといけないけど……」
(意味も無く自分の部屋の窓を開けて換気)

ヒョウタ「……(地下通路の地図を開く)」



ヒョウタ「いくらなんでも僕一人でどうかなる場所じゃない。
見間違い……?証人はいないけどズガイドスが見てるから幻覚じゃないはずだ。けど……。
……相談できそうな人は……(トウガンの電話番号を表示)」



ヒョウタ「……」
(通話開始のボタンで手が止まる)



(通話先変更)

電話先「もしもし。こちらハクタイジムです」
ヒョウタ「失礼します、クロガネジムのヒョウタです……あれ?」
電話先「えーと、ヒョウタ君?珍しいね電話なんて」
ヒョウタ「ジムリーダーが直接出るとは思わなかった……。
いや、相談と言うか連絡しておいた方が良さそうな事がありまして」
電話先「相談?どうぞどうぞ。何故かここ数日挑戦者が来ないから時間あるし」
ヒョウタ「……幻覚じゃないかと疑うようなシロモノなんですけど」
電話先「げ、幻覚?ま、まぁ続けて」

ヒョウタ「いや……ハクタイの方の地下通路で化石を探してたんだけど……」
電話先「あ、うちに来たんだ!連絡くれれば……。
まぁ地下通路じゃ無理か。で?」
ヒョウタ「地底都市を発掘したんです」



電話先「……」
ヒョウタ「……すいません、やっぱり幻覚じゃないか確認しに行きます」
電話先「……うちの町に地底都市?
今の言葉から判断するに冗談じゃないっぽいねぇ、アハハ……」

ヒョウタ「……(当たり前だけど気まずい……)」
電話先「……証人は?ポケモンでもいいけど」
ヒョウタ「僕のズガイドスが……時間が押してたからあまり探索はしていないんですけどね」
電話先「ムウマージでも出たんじゃない?
それとも、ハクタイの森のゴーストポケモンが関係してるのかもね」

ヒョウタ「……あぁ!ゴーストやエスパー系のポケモンか!
それなら僕とズガイドスが同じ幻覚を見るって事も有り得る……!」
電話先「うちの町に地下通路の生みの親がいるんだよね?
その人が地下通路に行った時に後ろに着いていったとか……。
いや、そこら辺はヒョウタ君の方が詳しいか」



ヒョウタ「……ですよね!
いくらなんでも、立派な化石を発掘したいとか思った事は何度もあるけど
地底都市を発掘したいなんて流石に考え付かなかったですし!幻覚にしても変だと思ったんだ!」
トウガン「俺は一度だけ考えた事あるぞ」



ヒョウタ「……」
トウガン「よう。どうした?(開けていた窓から覗き込んで)」

ヒョウタ「……プライバシーって物が……」
トウガン「別に変な物無いからいいだろう」





電話先「……うん、ヒョウタ君は悪くない」
ヒョウタ「……といいんだけど」
電話先「いきなり息子の家に父親が窓から上がりこんできて、しかも土足と言う状況なら思わず携帯式の電話持って部屋を逃げ出すのも無理ないよ、うん」
ヒョウタ「いや、そうかなぁ」
電話先「親だからって子供のプライバシーを勝手に覗くのはいけないって。
私だったら逃げるね。それに……」

ヒョウタ「それに?」
電話先「ジムリ会議の時いつも思うけど、トウガンさんってヒョウタ君に厳しく当たるじゃない?
そういう態度だと、どうしても苦手意識出ちゃうって」
ヒョウタ「うーん、僕は意識はしてないんですけど」
電話先「それでも深層心理ってヤツ、あると思うよ。
でも、ホントは親子の愛情とかあるだろうし、だから露骨な苦手意識ではない……みたいな?」
ヒョウタ「……そこまで細かく分析されると変な感じだなぁ」
電話先「あ、ゴメン。
とにかく、ヒョウタ君は草タイプとの相性だけでついついトウガンさんに苦手意識持っちゃってる私とは違うの!」
ヒョウタ「……いや、話を聞いてくれたからありがたいんですけど。
それは置いといて……」

電話先「……あ、地下都市!
どんなの?遺跡みたいなのはハクタイにはないよ。ディアルガ像くらいだね」
ヒョウタ「……遺跡みたいなタイプの地底都市に見えたんですよね」
電話先「うーん……流石に幻覚だって事で調べた方がいいかな。
それはそれで、この前話に聞いたゴーストポケモンが問題なのか」
ヒョウタ「ゴースト?さっきから気になってたけど、エスパーじゃなくて?」
電話先「あ、こっちの話。お化けポケモンのせいで人間の幻を見るって話まであるんだ。
まぁ、行かなきゃならないかなぁ……ジム忙しいけど。
っと、そろそろ戻ったら?トウガンさん置いてったでしょ」
ヒョウタ「あ、戻ってきてもう家の前です」



ヒョウタ(……あれ?)
電話先「それにしても携帯式の電話でも音質いいんだね。
ポケギアだっけ?ジョウトで普及してるヤツだったね」
ヒョウタ「……父さん、誰と電話してるんだ!?」
電話先「え?」



トウガン「それが、聞いてくれよゲン。傑作なんだ」

ヒョウタ「おい!?わざわざ他人に広めるか!?」
電話先「えぇ!?まさか近所のおばさんみたいな事やってんの!?」

トウガン「ヒョウタのヤツ、地底都市を発見したそうなんだ!」
ヒョウタ「あー!」
トウガンの電話先「……話の信憑性は置いといて、だな。
トウガンさん、案外ヒョウタ君を見習った方がいいんじゃないか?」



トウガン「……」
ヒョウタ「……?」
電話先「?」

トウガン「だ、だ、誰が息子を見習うだと!?どういう事だ!」
トウガンの電話先「いや、落ち着いた方がいいんじゃないかなー、と」
トウガン「何?落ち着いた方がいい?……おい!ヒョウタ!
お前はこれからどうする気だ!」
ヒョウタ「とりあえず炭鉱の換気作業を行なう事にしたからそれの……」
トウガン「そうじゃねー!」
ヒョウタ「ハクタイの辺りで見つけたからそっち……ナタネさんに連絡入れてる。
そしたらハクタイの方でゴーストポケモン関係の騒ぎがあったから、それと関連して幻覚を見せられたんじゃないかって方向で話が動いてる」



トウガン「……あれ?そうなのか?」
トウガンの電話先「はは、いちばん年甲斐もなくはしゃいでるのはトウガンだったね」



トウガン「……年甲斐もなく?はしゃいでる?俺が?」
トウガンの電話先「うん!」

ヒョウタ「……(ゲンの話した言葉も辛うじて聞き取れたため笑いを必死に押し殺している)」
(ヒョウタの持っているポケギアから爆笑している女性の声が聴こえる)





トウガン「ゲンの奴覚えてろ……」
ヒョウタ「まあまあ……」
トウガン「……ま、俺が悪いか。冗談でも息子の悪評を広めるのは流石にバチ当たるか。
これじゃハクタイジムにしばらく入れんな」
ヒョウタ「まぁ、大丈夫だと思うけど……」



トウガン「……で、もうそろそろか。ハクタイの辺り」
ヒョウタ「そうだね。それにしても、父さんが来てくれるとは思わなかったな。
久しぶりだなあ、2人で一緒に作業やるってのは。そもそも地下通路に潜るのも」
トウガン「お……おう」

ヒョウタ「……ここだ。この先……かな。
地図を確認してなかったから間違ってるかもしれないけど」
トウガン「おいおい、確認しとけよ。
何度も言ったが、テンガン山の辺りじゃコンパス狂うってのは常識だろうが。迷うぞ」
ヒョウタ「気が動転してたんだよ……僕のミスなのは変わりないけどね」

ザッ。



トウガン「その穴はあった、が……」
ヒョウタ「……幻覚じゃなかったっぽいなぁ」

トウガン「おいおい、これ予想以上にでかいなぁ?」
ヒョウタ「……後は、中に入れるか……」

パラパラ……(ガレキを踏む音)



トウガン「派手にやったなー、お前のズガイドス」
ヒョウタ「まぁ鍛えてるからね」
トウガン「鍛えてるからって、でもお前のズガイドスはあくまでジム初心者用の……っと、流石に真っ暗か」
(モンスターボールを構える)

トウガン「ドーミラー、頼むぞ」
ドーミラー(金属音で応答)

ドーミラーのフラッシュ!あたりがあかるくなった!



トウガン「……うおっ!」
ヒョウタ「こ、これは……」

トウガン「……地底都市……。
……っと、少しは頭冷やすか」
ヒョウタ「え?」
トウガン「地底都市って聞いてたけど小規模な地下街って所だな。
地下洞窟に石で出来た家がポンポン立ってるんじゃなくて、巨大通路と店に当たる空間か。
まぁ、これでも十分な発見だから置いといて……。
これ、遺跡とかじゃなくて最近のだろ?多分」
ヒョウタ「まぁ、何となくそんな感じが……。
もっと遺跡っぽく見えたけど、見返すとそうでもないな」
トウガン「しっかし、こんな所に人知れず、こんな規模の都市を作る。
……いや、穴を掘るだけでも、だ。
とても個人規模じゃ無理だろ?」

ヒョウタ「……だろうね」
トウガン「そういう訳だ。
もっと言うと、かなり古びているように見えるが……」
ヒョウタ「……違和感があるなぁ」
トウガン「意図的に古びさせてるぞ、こりゃ」

ザッ……(中に踏み入る)



トウガン「落盤の危険性はないな、こりゃあ。
古びさせてるけど瓦礫の一つも落ちてない。凄いな」
ヒョウタ「しっかりと天井が造ってあるし、柱の位置も……」
トウガン「ここ最近の近代土木技術で計算して作ってるだろうな、こりゃあ。
まぁ古代の建築技術を甘く見たら痛い目に遭うけどな。でもこれはカンナギの遺跡とかとかなり違う」

ヒョウタ「……で、どうしようか?」
トウガン「痕跡を探す。こりゃ結構広いから骨が折れそうだがな」





ヒョウタ「やっぱ父さんは凄いなー……。
さーて、僕も負けてられないぞ」

(色々と漁る)

ヒョウタ「……うーん、想像が付かないぞ。
ホウエンのキンセツの地下都市は計画が頓挫したって言ってたけど……この場合はどうだ?」



ヒョウタ(電子基盤の類が妙なくらいに無いなぁ……。
前に見たキンセツの地下都市の写真があるから余計に感じるのかもしれないけど、ここ最近のものだって父さんが言ってた割には何も無い。
今の科学技術だとこう言う廃墟全般で見られるはず。
……これは……?)



ヒョウタ「……っと、光?」



ヒョウタ「あ、やっぱ父さんか」
トウガン「お、二手に分かれた意味無かったな。さっき見つけた分かれ道は結局合流してたのか。
どうだ?何かあったか?」
ヒョウタ「無さ過ぎて困ってるよ」
トウガン「だよなー、無茶しても何も出ない」
トリデプス「ぷすー」



ずるずるずる(牙に引っ掛けて何かを引きずってくる)

トウガン「……おぉっ!これまた掘り出し物だ、よくやった!」
ヒョウタ「作業着……?って、『これまた』?」
トウガン「ここ造ったヤツが置いてったんじゃないか?
万一のポケモンが壊したってセンも無さそうだな、これだと」
ヒョウタ「……作業着に何か書いてない?」

トウガン「……何も書いてないな。
ちぇっ、ポケットの中を見ても何も入ってやしない……」

ヒョウタ「……さっきの『これまた』って何?父さんは見つけたの?」
トウガン「なんでぇ?お前は見つけられなかったのかよ?
電源持って来てた痕跡が大量にあったぞ。この辺り一帯だけだけどな」
ヒョウタ「……え!?僕もその方針で探したけどそんなの全く……」
トウガン「ったく、だらしねーなぁ。
お前が回ってきたのはこっちの方だろ?って、あれ……」

ヒョウタ「……父さん?」
トウガン「雰囲気が何か違うぞ。
えっと、この辺り一つ見ても、確かにお前の回ってきた方は元から何も無かったっぽいぞ……?
そもそもこれ、今どきの建築なのに蛍光灯のスイッチの場所がねーぞ」

ヒョウタ「……何か、嫌な予感が……」
トウガン「おい!そういうのは口に出すと実現しかねないから程々にしろ!」



ヒュオォォォ……。

トウガン&ヒョウタ「風!?」
ヒョウタ「で、出口がある!?」
トウガン「こ、この辺りには地下通路の通気孔も無かったはず……。
……いや、違う!」





あ!やせいのヨノワールがとびだしてきた!

ヒョウタ「……え!?」
トウガン「お、おいおい……まさか地獄への入り口じゃねーよな?」
ヨノワール「……」

ヒョウタ「待て!」
トウガン「……?」
ヒョウタ「……僕達は敵じゃない!ここが何の場所なのかを調べに来ただけなんだ!
君がこの場所を仕切っているのなら、縄張りに入って申し訳ない!
だけど、この場所は明らかに人間の作ったものだし……」



ヨノワールのシャドーパンチ!
ヒョウタ「……駄目か……!」



ヒョウタ「……あれ?」

トリデプスにはぜんぜんきいていない!

トウガン「……トリデプス!む、無茶はするなよ!」
ヒョウタ「いや、でも父さんのトリデプスなら……」



ヨノワール「……(後ろに下がる)」

ヒョウタ「ほら」
トウガン「……あれ?
いや、ヨノワールは大抵地震を覚えているんだが……」
ヒョウタ「野生の個体は違うんじゃ?」
トウガン「ヨノワールなんてトレーナーが逃がしでもしないと出て来ないだろ。
野生のダグトリオがトライアタック使ってきた例ってのを聞いた事もあるくらいだしな」



ヨノワール「……?」
トリデプス「……ぷす」



ヨノワール「……(脇に下がる)」

ヒョウタ「……あれ?」

トリデプス「ぷすー(トウガンの方を振り返って見た後に歩き始める)」
トウガン「……何か今日は俺立場ねーなぁ」
ヒョウタ「あ、説得してくれたのか!」
トウガン「……さーて……」





ヒョウタ「……大丈夫かなぁ」
トウガン「俺はトリデプスを信じて行くぞ。
怪しい光で洗脳した様子も無かったしな。
いくらなんでも息子を地獄に連れて行ってたまるか」

ヒョウタ「……なら信じる」



ザッ……。

トウガン「……道か!」
ヒョウタ「上に伸びてる……これか!
ありがとう、ヨノワール」
ヨノワール「……(うなづく)」

トウガン「……はいいが……。
落盤か?いや、強引に通路を怖したっぽいな。
瓦礫だらけで進めない」
ヒョウタ「……だね」
トウガン「無茶しやがる……ここはトリデプス、頼んだ!」



トリデプスのラスターカノン!
がれきはビクともしない!

トウガン「……こりゃ爆薬でも使ったか?
ハクタイで十数年前に謎の爆発音が聴こえたとか言う記録が残ってればいいんだが……。
どうしたもんか」
ヒョウタ「……だったら」

トウガン「おい、まさか……」
ヒョウタ「今度はズガイドスじゃない。『本物のパートナー』を持ってきてる」
トウガン「あー、そうじゃなくて!こんな所で突進を放ったらやばいだろ!」



ヒョウタ「……出て来い!そして『怪力』!」

ヒョウタはラムパルドをくりだした!

トウガン「……え!?怪力!?」
ヒョウタ「一時的に覚えさせてきたんだ!お前なら絶対にいける!」
ラムパルド「……ギャオォォォー!」

ラムパルドのかいりき!
ドォン!



トウガン「……すげぇ、パワーのみで瓦礫を奥に押しやった……。
ハリテヤマの立場がねーな、これじゃ」
ヨノワール「……(思わず拍手)」
ヒョウタ「よし、これで何とか進めるかな。ありがとうラムパルド、戻れ!」

トウガン「……さーて……。
後はPP切れを気にしなくていいな。ドーミラー、フラッシュ!」

ドーミラーのフラッシュ!

トウガン「……階段!?(急いで上り始める)」
ヒョウタ「あ、気を付けた方が……」



トウガン「……ビンゴだ」

ヒョウタ「え?何かあった?」
トウガン「ドアだ。このドアにあるロゴを見てみろ」
ヒョウタ「え?ロゴ?」



ヒョウタ「……これは……」
トウガン「……『G』か」





トウガン「これが、そのドアの写真。
『G』。あの団のロゴだな。地図と照合した位置もこの辺りなら合う」

ナタネ「えーと、こちらからは映像が見えてないんですけど……」
トウガン「あ、すまん。えっと……これか。電話からテレビ電話に切り替え、と」
ナタネ「……ホントだ、『G』だ……」

トウガン「……つー訳だ。
後はお前に任せた方がいいかな」
ナタネ「えーと……ありがとうございました!」
トウガン「ま、植物関係でお前さんに頼る事があったら頼む。そんなもんでいいか?」
ナタネ「うーん……トリデプスにおススメの植物とか探してこればいいですか?
確か草食だって聞いたような……」
トウガン「あ、そりゃ助かる、頼むわ」
ナタネ「はい!」

プツッ(電話を切る)



ナタネ「……さーて、と。
ギンガ団は表向きは普通の企業だから、逆に言えば……。
……たまには権力行使しちゃおうかな」

(電話帳を開く)



(電話を手に取る)



電話先「もしもし、夢のエネルギーを開発する企業、ギンガ団です。
ご用件は何でしょうか?」
ナタネ「ハクタイシティのジムリーダーのナタネです。
えーと、ギンガ団のハクタイ支部の建物について聞きたいのですが……」

電話先「……はい?ジムリーダー?」
ナタネ「電話相手の情報を表示すれば分かると思います」
電話先「具体的にはハクタイ支部の何を?」
ナタネ「地下通路で発掘作業をしていたクロガネシティのジムリーダーが、ハクタイ支部に繋がる巨大な地下都市を発掘したと聞いたのですが……」
電話先「……地下都市!?」
ナタネ「そうです。電源を持ってきていた痕跡もあったそうです」

電話先「……その地下都市はどうしたんですか?」
ナタネ「位置的に、そちら様のビルに繋がるドアを発見したそうです。
鍵が掛かっていたので開けはしませんでしたが」

電話先「……担当の者をお呼びします」

♪~(待機時間の音楽)

ナタネ「……むむ、時間掛かりそうだなぁ。
今日は肥料買い出したかったけど……」




(一旦電話を置くギンガ団の担当者)

電話担当「……ハクタイ支部?地下都市?何よ?
でも機密事項があった場合は変に教える訳にも……。
……ジュピター様に指示を仰ごうかしら……。ってかジムリーダーが直接って……」

アカギ「……おい、そこのお前。どうした」
電話担当「……って、えぇ!?ボス!?どうしてここに!」
アカギ「外の用事から帰ってきた事が、そんなに変だと言うのか」
電話担当「……えっと、偶然、って事ですか。
ちょっと、電話が掛かってきて……」
アカギ「何の要件だ」
電話担当「クロガネのジムリーダーが、ハクタイ支部の地下研究所に、偶然地下通路経由で潜入したらしいんです」
アカギ「何!?」

電話担当「……や、やっぱりマズいですよね?
それに、電話掛けてきたのハクタイのジムリーダーですし」
アカギ「……いや、別に言ってもいい……か?」
電話担当「へ?」
アカギ「ハクタイ支部は撤収した時に、計画に足が着きそうなものはほぼ全て始末した。
今更立ち入られても何の問題もあるまい。むしろ警察の捜査の扇動になる。
うちの団の誰かが変な企みでもやってた、って場合には困るが」
電話担当「……あ、ハイ!」
アカギ「後はお前に任せる。2年ハクタイ支部にいたから事情の説明は要らないだろう、何とでも答えてやれ」
電話担当「……何で私みたいな女脇役したっぱのデータまで覚えてるのよ、流石ボス……。
……失礼しました。了解。
それにしても、どうやって見つけたのやら……有り得ないじゃない」

アカギ(……確かに有り得ない、どういう事だ?
そもそも、地下通路の化石掘りでビルの地下階層に出るなんて事自体、有り得ないはず……。
ビルというものは地下に基礎土台があって、その上に建てられている。
つまり、万一それを発掘したらビルが倒壊するからな。
だから、地下通路はその辺りは避けた所を通っていたはずだ)




ナタネ「……あ、やっと来た」
電話先「申し訳ありません。担当の者に話を聞いて参りました」
ナタネ「あ、はい。
あの地下空間は、何の実験を行なっていたかを聞かせて下さい」

電話先「……実験内容?」
ナタネ「この前までのポケモン盗難事件については言及しません。
ですが、これに関しては正直に答えて貰いますよ」
電話先「……それについてはお答えできません」
ナタネ「お答えできないって!」
電話先「と言うか、経費削減のためにビルの建設1年も経たずに閉鎖したんです!」

ナタネ「……え?」
電話先「シティの電力消費のデータを見れば分かるはずです。
調べて違う結果だったら、再度問い合わせて貰っても構いません。
ちなみに地下室の使用回数は1回です。建設直後の7月……だったような……」
ナタネ「……あれ?
でも確かに、電源設備とか水道管とか、その辺りの……インフラって言うんだっけ?
繋いであったのはドア近くの一部の地区だけだったらしいし……」



電話先「……一部?」
ナタネ「はい」
電話先「一部も何も、電源繋いだ部屋しかありませんけど」
ナタネ「……え?
いや、私が聞いたのは地下街みたいな規模の……」
電話先「地下街?だからなんで話が壮大なんですか!
大きめの地下室一部屋だけですよ!」

ナタネ「……え?」
電話先「……えっと、以上でよろしいでしょうか。
そもそも地下街クラスの大工事だったら町の許可取る必要があるでしょう」

ナタネ「……ホントに?」
電話先「……ホントです!不気味な話はしないで下さい!」

ナタネ「……ありがとうございました」
電話先「……あ、はい。今後ともご贔屓に……?」

プツッ(電話切断)





ピッ(電話再接続)

ヒョウタ「あ、ナタネさん。どうでした?」
ナタネ「……いきなりだけどさ。
植物ってのは一朝一夕じゃ成長しないけど、特に木とかは長い時間を掛けて苗の時代の数十倍の大きさに成長するんだよ」
ヒョウタ「あ、人間でもそうだと思うけど……動物でも」

ナタネ「建物が成長したらどうする?」



トウガン「おい、どうした?」

ヒョウタ「……こ、声が震えてない?」
ナタネ「だ、だ、大丈夫よあははは」
(※ナタネはお化けが嫌いらしいです)

ヒョウタ「……ナタネさん!し、しっかり!ちょっと!」
トウガン「電話代われ!おい、どうした!?」
ナタネ「……ギンガ団に直接問い合わせたのよ」
トウガン「えぇ!?……って、一応表向きは優良企業ぶってるから答えてくれるだろうな……。
……どうだったんだ?」
ナタネ「ただのビルの地下室しか無いって……」

トウガン「……どういう事だ?」
ナタネ「……地下都市なんて無い、って……」



トウガン「おいおい、ちょっと待てよ。
お、俺は地底都市歩きまでしたんだぞ。
なのに、アレが全部幻覚だって、まさか……」
ヒョウタ「……ま、まさか!?」
トウガン「知らん!ギンガ団に直接問い合わせても地下室一部屋しか造ってないって言われたんだとさ!」



ヒョウタ「……あれが全部幻覚?
そ、そんな恐ろしい事ある訳が……」
トウガン「じゃ、俺が探検したのは何だったんだよ!?
異界か!?何だ!?」
ヒョウタ「……ま、待て!思い出せ!(自分に言い聞かせるように)
そんな事あるはずがない!だから、何か間違えてないか!」
トウガン「あの探索で何を間違えたってんだ!」





ヒョウタ「……あれ?」

トウガン「お、おい、どうした?」
ヒョウタ「……いや、何でもないよ」





ギンガ団したっぱ「……ボス。電話終わりました」
アカギ「手短に済ませろ。
まぁ一つ言っておくが、ここ(ギンガ団トバリ本部)と倉庫を結ぶ地下道のようなものを、ハクタイにも設置した覚えは無い」

ギンガ団したっぱ「……え~~~……!?
ま、ま、まさか……森の洋館の……」
アカギ「……ハクタイで噂のミステリースポットか。
でも、ゴースは幻覚見る前に気絶するだろう。ガスの塊だからドンファンが気絶するほどらしいしな」
ギンガ団したっぱ「……ゲンガーなら……」



アカギ「……流石に驚いたがな、別に何て事は無いだろう」

ギンガ団したっぱ「……ま、まさか?」
アカギ「地下通路の化石発掘程度で潜入されたら流石にやっかいだが、地下室そのものの規模が広がっていたと考えれば驚く事じゃないだろう」
ギンガ団したっぱ「……えっと、あ、地下室が広がったから地下通路との距離が縮まったって事ですか。
確かにそうですけど、何で地下室が広がったのかが……。
アレ、確かギンガ爆弾の製造実験室ですよね?元がシェルターだからあんまし大きくないし……」
アカギ「シェルターとして強度に欠陥があったから一度の使用で閉鎖したのだがな」
ギンガ団したっぱ「あ、そうなんですか。で……」

アカギ「……ポケモンに地下街をわざわざ造るような物好きはいまい。
ダグトリオでもそんな器用な真似は不可能だ。必然的に人間になるだろう」
ギンガ団したっぱ「ま、まぁ確かに……」
アカギ「どこぞの人間が地下室を勝手に広げた。それだけの事だ。
そして、確実にギンガ団とは関係の無い人物だ。つまり、無関係だから忘れるのが一番だろう。
これ以上考えても、らちが明かないしな……では私は行かせて貰う」
ギンガ団したっぱ「……あ、はい……」

ギンガ団したっぱ「……相変わらずボスの言葉には説得力がある、けど答えは出てないような……?
……ま、いっか。忘れよーっと」



アカギ(……それにしても、常識じゃ考えられないな。
まぁ、海岸が近い以上この本部の地下道までも発掘されるとは考えられないが……。
……常識じゃ考えられない?
そう言えば、そういう人物で、しかもビルの基礎の位置まで必然的に把握しているであろう人間には一人だけ心当たりがあるが……。
まさかな)





~3日後~

トウガン「……もしもし」
ヒョウタ「あ、父さん。今ハクタイだ」

トウガン「……ポケギアって性能いいんだな。古い割に音質いいな」
ヒョウタ「洞窟の中じゃない限り、不気味なくらい繋がるから凄いよ。
小型の携帯電話は街中じゃないと電波が無いから通じないけど……」
トウガン「機能は少ないらしいけどな。うちでは10年前のポケギアしか手に入らないし」
ヒョウタ「うん」

トウガン「……で、わざわざハクタイまで行ってどうする気だ?」
ヒョウタ「まぁ、坑道の点検が終わったから時間も出来たしね。
あれから色々考えたけど、やっぱこれしかないと思うんだ」
トウガン「あぁ?何の話だ?」
ヒョウタ「犯人を問い詰めに行く」



トウガン「……はぁ!?」
ヒョウタ「色々考えたけど、これしかない」
トウガン「犯人て!誰だよ!」
ヒョウタ「父さんが見落としてたんだ」

トウガン「……俺が、かよ」
ヒョウタ「でも一つ言いたいのは、父さんが間違えた訳じゃ決して無い、って事」

トウガン「……さっぱり分からん」
ヒョウタ「父さん、あの場所を探索してる時に言ったよね」



「しっかし、こんな所に人知れず、こんな規模の都市を作る。
……いや、穴を掘るだけでも、だ。
とても個人規模じゃ無理だろ?」



ヒョウタ「こんな地底都市は個人規模じゃ造れない、って」
トウガン「いや、そうだろ」
ヒョウタ「……いい?
『普通に考えたら』って言葉が必要だったんだ」



トウガン「……あぁぁぁーーー!!!」

ヒョウタ「そういう事だと思う」
トウガン「……アンニャロー。
えぇい!とっちめろ!逃げたらラムパルドに追いかけ回させろ!」
ヒョウタ「それはやらないけど、ラムパルドは連れてる」
トウガン「……折角だ。電話着けっ放しで行け」
ヒョウタ「え?わ、分かったよ」







ガチャッ。

地下おじさん「お、ヒョウタ君じゃないか!」
ヒョウタ「勝手に地底都市を作るのはやめて下さい」



地下おじさん「……な、何故それを!?」
ヒョウタ「あんなの造れるの、あなただけでしょう!」

地下おじさん「どうやって見つけたんじゃ!」
ヒョウタ「地下通路で化石掘ってたら掘り当てたんです!」

地下おじさん「な、何で地下通路から辿り着けた!?」
ヒョウタ「あれだけ大きい場所だから見つからない方が不自然だよ!」



地下おじさん「……」
トウガン「……(電話先で必死に笑いを堪えている)」
ヒョウタ「……地下通路は確かに凄いと思います。
けど、町の真下のあの場所に作るのは危険だと思いますが」
地下おじさん「いや、むしろ危険だから造ったんじゃないか!」

ヒョウタ「……危険だから!?」
地下おじさん「あのギンガ団の地下室はかなり丈夫な構造をしておった。
だから、危険の伴う地下通路の探検にも生かせないかと考えたんじゃ!」



ヒョウタ「……」
地下おじさん「構造的に、絶対に地盤陥没自己など起きない事は計算のうちじゃ!」
ヒョウタ「……あの地下街は、その実験で造った……?」
地下おじさん「そうじゃ」



ヒョウタ&トウガン「……(色々と脱力)」



(終)
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読み方は「こひょうどう」。主に212番道路(ノモセ側)に生息。
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しもべC(イラスト担当)
マイペースとフリーダムの代名詞人間です
ポケモンがいれば生きていけます
絵に関しては、精進していきたいです
今日も日本のどこかで空想にふけってます
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